【精神科在宅訪問診療】東京23区、埼玉県南部|さくらひだまり訪問クリニックさくら訪問クリニック

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コラム

東京・埼玉の精神科訪問診療|双極性障害の往診・在宅医療

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気分の波に翻弄される「双極性障害(躁うつ病)」の在宅ケア

 

「極端に気分が高揚して、全く眠らなくても活発に動き回り続けてしまう」

「かと思えば、突然ベッドから起き上がれないほどの深いうつ状態に陥る」

「躁状態の時に大きな買い物をしてしまい、後で激しく後悔する」

うつ病と同じような「気分の落ち込み(うつ状態)」と、異常に活動的になる「気分の高揚(躁状態)」を波のように繰り返す疾患が「双極性障害(躁うつ病)」です。

うつ状態の時は身体が動かず通院ができません。一方、躁状態の時は「自分は絶好調だ」と思い込んでいるため、自ら病院へ行く必要性を感じなくなってしまいます。

このように、病気の特性そのものが通院治療を難しくさせるため、医師が生活の場へ出向く「精神科訪問診療(在宅医療)」が非常に有効な解決策となります。

 

双極性障害のメカニズムと、うつ病との決定的な違い

双極性障害は、脳の神経細胞の興奮を適切に鎮める機能が低下し、気分のコントロール(アクセルとブレーキ)が効かなくなっている状態の「脳の疾患」です。

 

見た目はうつ病と似ている時期がありますが、治療方針や使うべきお薬が全く異なります。

 

もし双極性障害の方に「うつ病の薬(抗うつ薬)」だけを処方してしまうと、急激に激しい躁状態が引き起こされたり(躁転)、躁とうつの波が制御不能なほど頻繁に起こる(ラピッドサイクル)危険性があります。そのため、専門医による正確な見極めが必須です。

 

診断の鍵を握る「ご家族からの情報提供」

気分の波が単なるストレス反応なのか、疾患によるものなのかを判断するため、丁寧な医療面接(問診)と、他の身体疾患(甲状腺の異常など)を除外するための血液検査などを行います。

 

双極性障害の診断において最も重要なのが、「過去に躁状態があったかどうか」の確認です。 ご本人は躁の時期を「すごく調子が良くて、仕事も捗っていた時期」とポジティブに誤認していることが多く、自ら申告することがあまりありません。そのため、「あの時は異常に怒りっぽく、全く寝ずに活動していた」といった、ご家族からの客観的な情報が診断の大きな助けとなります。ご自宅に伺う訪問診療は、ご家族から普段の様子をヒアリングしやすいという大きな利点があります。

 

双極性障害の専門的な薬物療法

双極性障害の治療のベースとなるのは、気分の極端な波を平らにするお薬です。

  • 気分安定薬(リチウム、バルプロ酸など): 躁とうつの波を抑え、再発を予防するための土台となるお薬です。

 

  • 非定型抗精神病薬: 強い躁状態を速やかに鎮めたり、落ち込んだ気分を持ち上げたりするために使用します。

 

少し調子が良くなったからと自己判断で服薬をやめると、深刻な再発(リバウンド)を招きます。当院では、精神科の医師が定期的にご自宅を訪問し、副作用の有無を確認しながら、お薬の微調整を粘り強く行います。

 

ご家族の対応法:躁状態のトラブルを防ぐために

双極性障害のご家族のサポートで最も難しく、かつ重要なのが「躁状態への対応」です。

 

躁状態の時は、本人は自信に満ち溢れていますが、周囲から見ると明らかに度が過ぎています。多額の借金や浪費、仕事上の重大なトラブル、周囲への攻撃的な態度(易怒性)などが現れやすくなります。

 

ご家族だけで説得しようとしても火に油を注ぐ結果になりがちです。トラブルが大きくなる前に、早急に医療機関へご相談ください。

 

当院の在宅医療では、急激な躁状態でご本人が興奮している際にも、24時間対応の「往診」で医師が駆けつけ、お薬の調整などで速やかな鎮静を図ります。

 

医療費の負担を減らす公的支援(自立支援医療)

長期にわたる気分の波と付き合っていくため、経済的な基盤を整えることが大切です。

 

当院は自立支援医療指定医療機関に認定されており、この制度を利用することで訪問診療やお薬代の自己負担が原則「1割」に軽減され、世帯所得に応じて月額の上限(2,500円、5,000円など)が設けられます。

 

【東京と埼玉の助成制度の違い】

  • 東京都にお住まいの方: 国民健康保険等に加入し、年収約204万円以下などの所得基準を満たす場合、1割負担分も東京都が助成するため、実質無料(窓口負担0円)で訪問診療を受けられます。

 

  • 埼玉県にお住まいの方: 自立支援医療の1割負担(上限額あり)が適用されます。毎月の支払いの最大額が決まっているため、不測の事態で往診を依頼した場合でも、青天井で費用がかかることはなく安心です。

 

その他、精神障害者保健福祉手帳や障害年金、精神科訪問看護ステーションの利用など、生活を支えるための福祉サービスの申請も、当院のソーシャルワーカーが手厚くサポートいたします。

 

訪問診療開始までの流れ

 

1.ご相談・お問い合わせ:ご家族からのお問い合わせも承ります。

「本人が受診を拒否している」「躁状態がひどく困っている」といった現状をお電話等でお知らせください。

 

2.事前面談:ご家族のみでの面談も可能です。

当院の相談員が生活状況を詳しくお伺いし、訪問診療のシステムや費用(自立支援医療等)についてご説明します。

 

3.初回訪問・アセスメント:医師が生活の場へお伺いします。

ご本人の状態を見極め、うつ病か双極性障害かを慎重に鑑別し、適切な処方計画を立てます。

 

4.定期訪問・往診体制の開始:気分の波に合わせた柔軟な対応。

計画的な定期訪問に加え、急な躁状態・うつ状態の悪化時には24時間体制の往診でサポートします。

 

双極性障害(躁うつ病)とは?症状・原因から正しい治療、ご家族の対応まで詳しく解説

 

 

「全く眠らなくても平気で、次々と新しいアイデアが浮かんで活動し続けてしまう」 「かと思えば、突然気分がどん底まで落ち込み、ベッドから一歩も動けなくなる」 「これまで楽しかったことに、急に何の興味も湧かなくなってしまった」

 

このように、異常なほど気分が高揚する時期と、極端に落ち込む時期を波のように繰り返す病気を「双極性障害(かつては躁うつ病と呼ばれていました)」と言います。 周囲からは「気分屋」や「性格の問題」と誤解されがちですが、決して本人の心や意思の弱さではありません。脳内の神経をコントロールする機能に不調が生じて起こる、れっきとした「脳の疾患」です。 本ページでは、双極性障害が起こるメカニズムや、医療機関での正確な診断プロセス、専門的な治療法、ご自宅での過ごし方、ご家族の適切なサポート方法から利用できる福祉サービスまでを網羅して解説いたします。

 

1. 双極性障害の症状とメカニズム

双極性障害の最大の特徴は、活動的になる「躁(そう)状態」と、無気力になる「うつ状態」という、対極の症状を繰り返す点にあります。

主な症状の現れ方

  • 躁(そう)状態: 気分が異常に高ぶり、自分は特別だと感じる(誇大妄想)、睡眠をとらなくても疲れない、多弁になる、次々と高額な買い物をしてしまう(浪費)、怒りっぽくなる等。結果として、周囲との対人トラブルや借金問題に発展しやすいのが特徴です。

  • うつ状態: 慢性的な気分の落ち込み、何事にも意欲がわかない、眠れない(または過眠)、食欲不振、強い自責の念(自分が悪いと思い込む)などが長く続きます。

 

なぜ双極性障害になるのか?(推測されるメカニズム)

はっきりとした原因はまだ全て解明されていませんが、脳内の神経細胞の興奮を適切に鎮める機能が低下している状態と考えられています。例えるなら、感情や意欲の「アクセルとブレーキ」が壊れてしまい、自分自身でコントロールが効かなくなって暴走・エンストを繰り返している状態です。

 

2. 医療機関での検査と診断のプロセス

双極性障害は、単なる「うつ病」と誤診されやすい疾患の一つです。治療方針が全く異なるため、当院では以下のプロセスで慎重に鑑別を行います。

  1. 詳細な問診(医療面接)と生活史の確認 現在の落ち込み(うつ状態)だけでなく、過去に「異常に調子が良くて活発すぎた時期(躁状態)」がなかったかを丁寧に紐解きます。ご本人は躁状態を「単に絶好調だった時期」と勘違いしていることが多いため、ご家族からの客観的なエピソード(浪費やトラブルの有無など)が診断の決定的な手がかりとなります。

  2. 身体的な疾患の除外(血液検査など) 「うつ状態」を引き起こす内科系の病気(甲状腺機能低下症、重度の貧血、ビタミン欠乏、更年期障害など)が隠れていないかを、必要に応じて採血等で確認します。

  3. 心理テスト・評価尺度の活用 症状の重症度を客観的に把握するために、ハミルトンうつ病評価尺度(HAM-D)や自己評価式のテストを補助的に用いることがあります。

  4. 診断の確定 他の疾患が除外された上で、DSM-5やICD-11などの国際的な診断基準に照らし合わせ、気分の波が社会生活・職業生活に明らかな障害をもたらしていると判断された場合に診断が確定します。

 

3. 双極性障害の専門的な治療法

双極性障害の治療のベースは「薬物療法」「環境調整(休養)」です。うつ病の治療とは根本的に処方内容が異なります。

 

薬物療法(気分の波をコントロールする)

双極性障害の方に「抗うつ薬」だけを使用すると、急激に躁状態へ振り切れたり(躁転)、躁とうつを猛スピードで繰り返す(ラピッドサイクル)といった危険な状態を招く恐れがあります。そのため、以下のお薬を中心に治療を行います。

  • 気分安定薬(リチウム、バルプロ酸、ラモトリギンなど): 気分の極端な上がり下がりを平らにし、次の波(再発)が来るのを予防する、治療の土台となる重要なお薬です。

 

  • 非定型抗精神病薬(ルラシドン、クエチアピン、ジプレキサ、アリピプラゾール、レキサルティなど): 激しい躁状態の興奮をスピーディに鎮めたり、反対に深いうつ状態の底上げをしたりする目的で併用・単独使用されます。

 

精神療法・心理社会的アプローチ

お薬で気分の波が落ち着いてきたら、再発を防ぐための心理的アプローチを取り入れます。「認知行動療法」で極端な考え方のクセを修正したり、対人関係のストレス対処法を学んだりすることで、病気とうまく付き合っていくスキルを身につけます。

 

4. ご自身のセルフケア(療養上の注意点)

病気と向き合い、波を小さくしていくためには、ご自身でのセルフケアも大切です。

  • お薬の自己中断は「絶対NG」:「気分が安定したから」「調子が良いから」と自分の判断でお薬をやめてしまうと、深刻な再発(リバウンド)を招きます。お薬の減量や中止は、必ず主治医の指示に従ってください。

 

  • 「人生の重大な決断」は先送りする: 躁状態のときの「起業する」「高額な家を買う」、うつ状態のときの「仕事を辞める」「離婚する」など、気分に振り回された状態での決断は後悔に繋がります。大きな決断は、治療が進んで本来のフラットな自分を取り戻すまで保留にしましょう。

 

  • 「休むこと」に専念する(うつ状態のとき): うつ状態のときは心身のエネルギーが空っぽです。焦りや罪悪感を手放し、「今はしっかり休んでエネルギーを溜める期間」と割り切って休息をとってください。

 

5. ご家族・周囲の方の適切なサポート方法

ご家族のサポートは非常に重要ですが、病気の波によって接し方のポイントが変わります。

  • 躁状態のトラブルを「一人(家族だけ)で抱え込まない」:躁状態のご本人は「自分は絶好調だ、病気ではない」と信じ込んでいるため、受診や服薬を激しく拒否することがあります。多額の借金や対人トラブルが取り返しのつかない事態になる前に、早急に医療機関や地域の保健所へご相談ください。

 

  • うつ状態のときは「頑張れ」と励まさない: うつ期に「頑張れ」と声をかけるのは、ご本人を深く傷つけ、自責の念を強めてしまいます。腫れ物扱いはせず普段通りに接しながら、「今はゆっくり休もうね」と温かく見守る姿勢が大切です。

 

  • SOSのサイン(希死念慮)を見逃さない: うつ状態が深くなると「消えてしまいたい」「生きている意味がない」と口にすることがあります。その時は「そんなこと言わないで」と否定したり話を逸らしたりせず、「そこまで辛いんだね」と感情を受け止め、速やかに主治医にご連絡ください。

 

6. 利用できる福祉サービスと公的支援制度

双極性障害は長期的なお付き合いになることが多い病気です。経済的な負担や生活の不安を軽減するために、様々な公的支援を活用できます。

 

  • 自立支援医療制度(精神通院医療): 継続的な通院(訪問診療を含む)や処方薬にかかる医療費の自己負担割合が、原則3割から1割へと軽減されます。

 

  • 精神障害者保健福祉手帳: 病気によって日常生活や社会生活に制限がある場合、申請により交付されます。税金控除、公共交通機関の割引、障害者枠での就職活動などのサポートが受けられます。

 

  • 障害年金: 症状が重く、仕事や生活に著しい支障が出ている場合、生活を支えるための年金を受給できる可能性があります。

 

  • 精神科訪問看護: 精神科に特化した看護師が定期的にご自宅を訪問し、お薬の管理、生活リズムの調整、ご本人やご家族の不安に対する相談支援を行います。

 

外出が困難な方へ:「精神科訪問診療」という選択肢

双極性障害の「うつ状態」のどん底にいるときには、ベッドから起き上がることや着替えることすらできなくなります。また、「躁状態」のときにはご本人が受診を拒絶し、ご家族が病院に連れて行くことが困難なケースも少なくありません。

 

当院では、通院のハードルが高くなってしまった方のために、医師が直接ご自宅へ伺う「精神科訪問診療」を実施しております。

 

ご自宅という最も安全で安心できる場所なら、寝間着のままでも、ベッドに横たわったままでも構いません。ご本人が話せる状態でない、あるいは受診を拒否している場合は、まずご家族からお話を伺う形からのスタートも可能です。まずは医師が状態を拝見し、適切なお薬の調整を行うことで、少しずつ波を穏やかにしていく第一歩を踏み出せます。

 

「病院に行かせたい(行きたい)けれど、どうしても動けない・連れ出せない」 そんな時はご家族だけで抱え込まず、ぜひ当院の精神科訪問診療をご検討ください。穏やかな日常を取り戻すその日まで、私たちがしっかりと伴走いたします。