【精神科在宅訪問診療】東京23区、埼玉県南部|さくらひだまり訪問クリニックさくら訪問クリニック

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解離症(解離性障害)について

解離症(解離性障害)

 

― 切り離された心と身体をつなぎ直すサポートを ―

 

「自分が自分ではないような、ふわふわした感覚になる(離人感)」

「気がつくと見知らぬ場所にいて、どうやって来たか思い出せない」

「ある時期の記憶がすっぽりと抜け落ちている」

「自分の中に、全く別の複数の『自分』がいるように感じる」

 

耐え難いストレスやトラウマから自分の心を守るために、意識や記憶、アイデンティティ(自己同一性)が一時的に切り離されてしまう状態を「解離症(解離性障害)」と呼びます。

 

🩺 解離症の主な種類

 

・解離性健忘

強いストレスが原因で、自分に関する重要な記憶を失う

・離人感/現実感消失症

自分が自分から離れていく感覚や、周囲の風景が映画のように非現実的に感じられる

・解離性同一症(多重人格)

自分の中に明確に異なる複数の人格が存在し、交代で現れる

・解離性遁走

突然家を出て放浪し、過去の記憶を失って別の身元を名乗ることがある

 

🌿 当院でできること

 

・解離の引き金となる不安やストレス状態の評価と緩和

・「今、ここ」に意識を戻すためのグラウンディング(地に足をつける)技法の提案

・背景にあるうつ症状や強い不安感、不眠に対するお薬の調整

・ご本人のペースを最優先にした、焦らない対話とサポート

・ご家族への対応方法のアドバイスと環境調整

 

🚗 訪問診療のメリット

解離症状がある方は、通院中や待合室での些細な刺激(音、匂い、他人の視線)がトリガーとなり、症状が誘発されてしまうことがあります。 慣れ親しんだご自宅での診察は、予期せぬ刺激を最小限に抑え、最も安心できる状態で医師とコミュニケーションをとることができる大きなメリットがあります。

 

🌈 ご家族様、支援者様へ

ご本人が「記憶がない」「別の人のように振る舞う」といった状態になると、周囲は「わざとやっているのでは」「嘘をついているのでは」と疑心暗鬼になりがちです。 しかし、これはご本人が生き延びるために無意識に行っている心の防衛反応です。責めたり、無理に記憶を呼び起こそうとしたりせず、まずは「安全な居場所があること」を伝え、見守る姿勢が大切です。

 

 

焦らず、急かさず。「今、ここ」の安心感を取り戻すために

 

解離症の治療では、予期せぬ刺激を減らし、ご自身のペースを守ることが非常に重要です。通院による疲労や、待合室での緊張を避けることができる訪問診療は、心をゆっくりと「今、ここ」の現実に繋ぎ直すための大きな助けとなります。私たちが住み慣れたご自宅へ伺い、焦らず、急かさず、あなたの心と身体を守るためのサポートを継続いたします。

【解離症(解離性障害)の概要】

1. 解離症(解離性障害)の概要と主な種類

 

人間は、事故や災害、虐待など、心身のキャパシティを超えるほどの強烈な苦痛やストレス(トラウマ)に直面したとき、自分の心が壊れてしまうのを防ぐための無意識の「防衛反応」を働かせます。その結果、自分自身の記憶、意識、感情、あるいは「自分が自分である」という感覚(アイデンティティ)が一時的に切り離されてしまう状態が「解離症(解離性障害)」です。

 

「記憶が飛ぶ」「自分が自分ではないように感じる」といった症状は、決して本人がわざとやっているわけでも、嘘をついているわけでもありません。限界を超えた痛みから生き延びるために、脳が緊急避難的にスイッチを切っている状態なのです。

 

臨床現場で見られる解離症は、症状の現れ方によって主に以下のタイプに分類されます。

分類 主な症状と特徴
解離性健忘 強いストレスやトラウマが原因で、自分に関する重要な記憶(特定の期間や出来事)がすっぽりと抜け落ちて思い出せなくなる状態です。単なる物忘れとは異なり、ごっそりと記憶が失われます。
離人感・現実感消失症

離人感:

自分の体や感情から自分が切り離され、外から自分を観察しているような感覚(自分が自分ではない感覚)。

 

現実感消失:

周囲の風景がベールに包まれたように見えたり、映画のワンシーンのように非現実的に感じられたりする状態です。

解離性同一症(多重人格) 自分の中に、性格や記憶、年齢、性別などが全く異なる「複数の人格」が存在し、それらが交代で現れる状態です。ある人格が表に出ている間の記憶は、別の人格には共有されない(記憶がない)ことが多く、生活に大きな困難を伴います。
解離性遁走(とんそう) 突然、家庭や職場から姿を消して見知らぬ場所へ移動し、過去の記憶を失ったまま、時に新しい身分を名乗って生活してしまう状態です。

2. 検査と診断のプロセス

 

解離症の診断において最も重要なのは、「本当に心因性(ストレス)によるものか、それとも脳や身体の病気(器質的疾患)によるものか」を慎重に見極めることです。

 

① 器質的疾患や薬物の影響の除外

「記憶がない」「意識が飛ぶ」「普段と違う行動をとる」といった症状は、側頭葉てんかん(複雑部分発作など)や脳腫瘍、脳炎などの脳の病気でも起こり得ます。そのため、問診に加えて、必要に応じて連携する医療機関での脳波検査や頭部MRI検査、血液検査を行い、身体的な原因を徹底的に除外します。また、アルコールや違法薬物、処方薬の乱用による影響ではないかも確認します。

 

② 医療面接(問診)と心理的アセスメント

身体的な原因が除外された後、精神科専門医が丁寧に問診を行います。

 

・記憶の空白(健忘)がどの程度あるか。

・日常生活や仕事、対人関係において、解離症状がどれほどの支障(トラブル)を引き起こしているか。

・過去に強烈なトラウマ体験(虐待、事故、いじめなど)が背景にないか(※無理に聞き出すことはせず、ご本人のペースに合わせます)。

・うつ病、PTSD、境界性パーソナリティ症などを合併していないかを評価します。

3. 専門的な治療法と処方薬

 

解離症の治療は「失われた記憶を無理やり取り戻すこと」が目的ではありません。まずは「今、ここ」の生活を安全で安心できるものにすることが最優先されます。

 

① 環境調整と心理教育

解離を引き起こしている現在のストレス要因(過酷な労働環境、家庭内の不和など)から離れ、心身の安全を確保します。また、本人と家族に「解離は心を守るための防衛反応である」という病気のメカニズム(心理教育)を伝え、自己否定感を和らげます。

 

② 精神療法(段階的アプローチ)

解離症の治療は、時間をかけて以下の段階を踏んで進められます。

 

第1段階(安定化)

まずは日常生活を安定させ、感情をコントロールするスキルや、解離しそうになった時に自分を現実に引き戻すグラウンディング(地に足をつける技法)を身につけます。

 

第2段階(トラウマの処理)

心の準備が十分に整い、治療者との信頼関係が確固たるものになった段階で、過去のトラウマ記憶に慎重に向き合います(※この段階は数年単位の時間を要することもあります)。

 

第3段階(統合)

切り離されていた感情や記憶、あるいは別の人格を受け入れ、ひとつのまとまった「自分」としての生き方を再構築します。

 

③ 薬物療法(対症療法)

解離症状そのものをピタリと治す特効薬は存在しません。しかし、解離の背景や合併症としてよく見られる「激しい不安」「気分の落ち込み(うつ状態)」「不眠」「衝動性」に対しては、抗うつ薬(SSRIなど)や気分安定薬、睡眠薬を適切に使用することで、心の土台を安定させ、精神療法に取り組みやすい状態を作ります。

4. 療養上の注意と周囲のサポート

 

解離症の方が安定した日常を取り戻すためには、ご本人のセルフケアと周囲の温かい理解が両輪となります。

 

① ご本人へ:「今、ここ」に戻るアンカー(錨)を持つ

疲労や睡眠不足、あるいは特定の音や匂いが引き金(トリガー)となって解離が起こりやすくなります。「頭がフワフワしてきた」「視界が遠のいてきた」といった解離のサインを感じたら、意識を「今」に引き戻す練習(グラウンディング)を行いましょう。

 

・氷や保冷剤を握って冷たさを感じる。

・強い香りのミントガムを噛む。

・アロマオイルの匂いを嗅ぐ。

・床に足の裏をピタリとつけ、大地の感触を意識する。

 

② 周囲の方へ:否定せず、安全を確保して見守る

ご本人の記憶が抜け落ちていたり、別人のような態度をとったりした時に、「嘘をついている」「ふざけている」と責めるのは絶対に禁物です。それは本人が無意識のうちに命懸けで心を守っている姿です。

 

解離が起きている時は、慌てず騒がず、周囲の危険なものを遠ざけ、「大丈夫ですよ、ここは安全ですよ」と穏やかに声をかけながら、本人が落ち着いて「今」に戻ってくるのを待ってあげてください。

 

③ 利用可能な福祉サービス

症状によって社会生活が困難な場合、「精神科訪問看護」を導入し、ご自宅での服薬管理や不安の傾聴、生活リズムの構築をサポートしてもらうことが非常に有効です。また、通院医療費の負担を軽減する「自立支援医療」の対象となります。